歯の基本構造

本題に入る前に簡単に歯の構造についておさらいしておこう。 治療法の善し悪しを論ずるのに歯の構造の基本的な知識が不可欠になってくるからだ。
まず最初に歯の本体部分を知っておこう。象牙質と呼ばれる硬質の組織が歯の本体部分にあたる。ハイドロキシアパタイトという難しげな言葉が、ガムや歯磨き粉のCMですっかりお馴染みになってしまったが、この象牙質の主成分こそハイドロキシアパタイトである。
さて、この象牙質の固まりが歯肉に突き刺さってしっかりと固定された形、この形を歯の基本構造としてしっかり覚えておいていただきたい。 次に、この「突き刺さった象牙質」を歯肉より上の「見える部分」と「見えない部分」にわけて考えるとわかりやすい。「見える部分」はエナメル質という硬い組織で覆われている。
ちなみに人間の体の中で最も固い組織がこのエナメル質だ。反対に「見えない部分」はセメント質と呼ばれる組織で覆われている。このセメント質の成分の種類自体は象牙質と変わらないが混合の比率が異なる。 もう一度おさらいすると、象牙質の本体の上側をエナメル質が、下側をセメント質が覆った構造になっているわけだが、この構造の丁度中央部分に空洞があり、この空洞には歯髄が満ちており神経や血管が通っている。
虫歯の程度をC0〜C4で表すのはご存じかと思うが、これもこの構造を理解しているとわかりやすい。表面のエナメル質が少しやられた程度がC0、エナメル質に穴が開いたらC1、象牙質まで虫歯が進んだらC2、中心部の歯髄まで進んだらC3、「目に見える部分」が丸ごとなくなったらC4ということになる。
ここでは「目に見える部分」「目に見えない部分」という呼び方をしたが、実はこれらにも正式な呼称がある。前者を「歯冠(部)」後者を「歯根(部)」と呼ぶ。これを用いてもう一度C4の虫歯を定義すると、「虫歯のため歯冠部を完全に失った状態」ということになるだろう。